ホームリバー(ヤマメ・アマゴ調査釣行記3)

早いもので、9月末の禁漁からもう1ヶ月が経とうとしています。


急に寒くなってきた最近ですが、振り返ってみると今年の九州の夏は大雨続き。そのせいで予定していた調査が思ったほど進みませんでした。


シーズン終盤となり、週末アングラーの集まりである私たちにとって残された期間は9月のみ。かくしてシルバーウィークは会員挙げて調査の日々となりました。


今はその期間に採取したサンプル全てが岩槻先生の研究室で分析・解析中。いずれ出てくるであろう結果が楽しみです。


ということで、これからしばらくは9月、シルバーウィークにかけずり回った会員たちの奮闘記をお届けしたいと思います。


この日は車2台編成、3人組での調査。私は林道の入り口で他のメンバー2人の車を待ちます。


まだまだ夏の残り香がただよう早朝、それでも時折ひんやりとする風が私の頬をなでていきます。


美しい朝焼けと、全く人の気配がない林道入り口。カーステレオの音楽を消し、車の外に出て、遠くで寝ぼけたようにさえずる小鳥の鳴き声に耳を傾けながら、大自然にとっぷりと身をひたす喜びを感じます。


空をぼんやりと見上げると、雲はもう真夏のたたずまいではなくなっていました。


独りぽっちでしんみりと感じ入る一時(ひととき)もこの遊びならではの幸福です。


車を駐めてから道なき山中を1時間半ほど歩き、3人とも汗びっしょりになった後で、目当ての滝へとエントリ-。


初めてこの沢にアタックする会員さんに先行してもらいます。


そして早速の撮影会。


野性味の強い色彩にほれぼれとしながら、しばらくの間モデルになってもらいます。


実はこの沢、今シーズン3月にヒイロアマゴに出会えた沢。


あれから一度も訪れていなかったのですが、もう一度夢のような出会いを求めて、また見た目はヤマメなのに、遺伝系統はアマゴだという魚もいるこの川の貴重なDNAサンプルを採取するためにやってきました。


残念なことにこの日はヒイロには出会えませんでしたが、こんなちょっと気になる赤い斑点の個体など、特徴的な魚たちがたくさん顔を出してくれました。


3人での遡行が続き、段々と源流に近づくにつれ、流れはゆるく、水は少なくなっていきます。


私たちのホームリバーの1つと言っていいこの川。


3月には小さい個体しか釣れずにその繁殖状況が心配されたのですが、この日は打って変わって20~25㎝程度のグッドサイズがポツポツと顔を見せてくれました。


いつもここに一緒に来ているBORAヤンとホッと胸をなで下ろすとともに、来年もこのままの渓流であってくれることを祈りながら魚止めまで釣り上がります。

こんな赤味の強い個体や、


背中のパーマークがかなり大きい個体など、短い流程の中にあってもバラエティに富んだ魚たちに会えるこの沢。


そして、あの輝くように赤いヒイロアマゴがいるこの沢。


岩槻先生の解析により段々とルーツが明らかになっているこの沢の魚と自然環境を守るために、私たちは今後も積極的な活動を行っていきたいと思います。


※この調査は、パタゴニア環境助成金プログラムの一環として行われました。

(文・写真 KUMOJI)

米良鹿釣倶楽部

米良鹿釣倶楽部は、釣りを通じてトラウトの学術研究に対する協力および漁協活動の支援を行うNPO法人です。

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