九州渓流魚シンポジウム2023 in 西米良

<業務報告>

特定非営利活動法人 米良鹿釣俱楽部は、西米良漁業協同組合との共催により2023年11月3日(金)に「九州渓流魚シンポジウム2023in西米良」を宮崎県西米良村で開催いたしました。西米良村でのシンポジウムは、昨年10月の開催に続き、2 回目となります。


2022 年 10 月に開催した「九州渓流魚シンポジウム 2022in 西米良」において、岩槻幸雄宮崎大学教授(当時)から一ツ瀬川水系のヤマメの DNA の解析の結果、全国的にも貴重な遺伝子を有するヤマメの存在の可能性が報告されました。


この報告を受け、西米良漁業協同組合では、一ツ瀬川水系の上流部を中心に禁漁区の拡大・増設を含め、多様な観点から在来ヤマメの保全について検討を行うこととしました。


その一環として、今回のシンポジウムを開催し、渓流魚研究者・専門家から助言をいただくとともに、西米良村に在住の方々や全国の釣り人の皆さんからご意見をいただくこととしたところです。


今回のシンポジウムには、昨年を上回る約60名の方々に全国各地からご参加いただき、主催者一同深く感謝申し上げます。



シンポジウムの開会にあたって、地元西米良村長の黒木竜二氏から来賓のご挨拶をいたただきました。漁協の組合員でもある黒木村長は、閉会まで熱心にシンポジウムを聴講されました。



シンポジウムでは、まず西米良漁業協同組合 組合長 甲斐法長氏から基調報告がありました。


甲斐組合長は、児原(こばる)稲荷神社の宮司のかたわら、漁協の組合長を務められています。11 月25日の児原稲荷神社の例大祭を控え、超多忙な中シンポジウムの準備に注力されました。基調報告の中で、西米良漁協の在来ヤマメの保全にかける熱い意気込みを語っていただきました。


続いて、宮崎大学名誉教授の岩槻幸雄氏です。岩槻先生は、長年にわたり宮崎大学で教鞭をとっておられましたが、本年 3 月に定年で退官されました。宮崎大学を退職された後も、益々意気軒昂で渓流魚の研究に邁進されています。


今回は、昨年のシンポジウム以降に調査・解析を行った一ツ瀬川水系のヤマメについて、その遺伝学的特徴を中心に発表されました。


3番目の事例発表は、静岡県自然環境保護調査委員会淡水魚部会長の川嶋尚正氏。川嶋氏は、静岡県水産技術研究所富士養鱒場や県庁の水産担当課に勤務されるとともに、静岡県内水面漁業協同組合連合会専務理事を歴任されています。


経歴からもわかるように、渓流魚の研究者であると同時に、水産行政にも明るく、内水面漁協の実態と経営にも明るい方です。今回は、ゾーニング管理など在来ヤマメの保全策と内水面漁協の経営について極めて示唆に富む発表と助言をいただきました。


続いて、パネルディスカッションです。コーディネータは岩槻幸雄氏。パネラーは基調報告や事例発表をいただいた甲斐法長氏と川嶋尚正氏です。


会場の参加者からの質問や意見にパネラーや参加者が回答、あるいは意見を表明するという形で進められました。まさに、双方向型のトークセッションです。


今回のシンポジウムでの事例発表や助言を踏まえ、西米良漁協では、新たな保全策を模索されることと思います。渓流魚を愛する皆さんは、それぞれの立場から西米良漁協の活動に協力、支援することが重要であると感じました。


私たち、特定非営利活動法人米良鹿釣俱楽部は 2022 年、2023 年に串間市及び西米良村で「九州渓流魚シンポジウム」を 3 回にわたって地元の漁協等と共同で開催しました。これらのシンポジウムを通じて宮崎県のヤマメの遺伝学的見地からの実態に関する情報や在来ヤマメの保全について考える場を提供してきました。


今後とも、多様な方策を活用してこうした機会を提供したいと思いますので、ご支援いただくようお願い申し上げます。


最後に、今回のシンポジウムの開催にあたって、ご後援・ご協賛賜りました、多くの機関・団体・企業の皆様や参加者の方々には、厚くお礼申し上げます。


(文:榎木葉三 ※米良鹿釣倶楽部理事長  写真:KUMOJI)


米良鹿釣倶楽部

米良鹿釣倶楽部は、釣りを通じてトラウトの学術研究に対する協力および漁協活動の支援を行うNPO法人です。

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