フィッシングスクール in 西米良
「三つ子の魂百まで」なんて陳腐なフレーズを使わなくても、大人は誰だって幼い頃体験した鮮やかな思い出を胸に、それぞれの年月を重ねていることでしょう。
この日のイベント、きっと参加してくれた子どもたちの良い思い出になってくれたことと思います。
と同時に、まだ幼い彼らの笑顔とぎこちない動作は、大人たちそれぞれの心の中にあるセピア色の写真に、ほんの少し昔の色を戻してくれたような気もしています。
さまざまな形でご参加いただいた全ての方に感謝を込めながら、大会当日の様子を簡単にレポートします。
2022年10月23日、ゲストに佐藤成史さんとあの釣りビジョンでご活躍中でもあるパタゴニア日本支社の小倉隆平さんをお迎えし、小学生と釣り初心者を対象に開催されたこのイベント。春から準備を開始し、この日の開催にいたるまでさまざまな紆余曲折(うよきょくせつ)がありました。
中でも9月に九州地方を襲った台風14号はここ西米良村と一ツ瀬川に甚大な被害をもらたし、1ヶ月経った後でも例年ニジマスを放流している場所の濁りが取れず、西米良漁業協同組合の甲斐組合長やJFFA九州支部の方々が直前まで会場の選定にご苦労なさっていました。村内の他のイベントが次々と中止になる中、本来であればスクールを開催出来るような状況ではなかったはずです。あらためて心より感謝申し上げます。
そんな大変なご尽力の甲斐あってか、当日は見事な秋晴れ。開会時には保護者やギャラリーの方々も含めると50人以上の熱気に会場が包まれていました。
いよいよ釣り開始、という直前、パタゴニアの小倉さんと大分県竹田市の地域おこし協力隊から来てくれた”アマゴ仮面”とBORAYANの3人で行ったこの出し物(?)。
実は前日夜の宿で(お酒を呑みながら・・・。)急きょやることになったもので、大会のオープニングに華を添えてくれました。あらためて、失礼なお願いに思いっっきり協力してくれた小倉さん、ありがとうございました。
スタート後、ルアースクールは私たち倶楽部の会員が講師役となってキャスティングからランディング、写真撮影までを参加者にレクチャー。
お子さんとニジマスと水面(みなも)、微笑ましくも美しい1枚。
アクリルケースとピースサイン。つくづくこのイベントを開催して良かったと思えます。
「まずこういう風に、あの辺りに投げてみようか?」
ちなみにこの後、爆釣だったそうです。良かった良かった。
小倉さんが指導してくれたこのお子さんは、その後ろで保護者の方がウズウズしながら、「次は私が釣りたい!!」としきりにおっしゃっていたのがとても微笑ましかったです。
「また釣りしようね!」
「うん!」
ルアースクール終了後の1コマ。
ルアースクールはお昼までで終了。参加者全員が大漁&大満足。
みんな楽しかったですね。
この女性は佐藤成史さんからマンツーマンレッスンを受けていました。
普段は関東にいらっしゃる佐藤さん、滅多にない機会です。
佐藤さんから、河原でフライの種類を教えてもらう参加者。そのまなざしは楽しみながらも真剣そのものでした。
そして何より、写真撮影のテクニック。私はもう何回も見せていただいていますが、いつ見てもネットの中にピタリと止まるその様子はまさしく神業。
まるで催眠術にかかったかのようにずっと、このまま、なのです。
午後の陽光を浴びながら、JFFA九州支部の方々の丁寧なご指導の元、子どもたちの釣り姿はどんどんサマになっていきます。
実に見事なランディングです。
フライロッドが描く美しいベンディングカーブとアングラー2人。
次世代へ繋ぐ、という言葉がピッタリな1コマです。
「ボクはこれが欲しい~。」
「じゃあ私はコレ!!」
と子どもたち。
「さわらないさわらない。ジャンケンジャンケン。」
と組合長。
こんな風に楽しかった1日はあっという間に過ぎていきました。
フライスクール受講者にはJFFA九州支部よりそれぞれ修了証が手渡され、みんなでハイ、ポーズ。
ほんの1日のイベントでしたが、この日描いた虹色の夢は彼らの胸の奥にきっと美しい1枚の写真として残ったことと思います。子どもにも、大人にも。
これからも参加してくれた方々が魚釣りや自然に興味を持ち続け、単に釣りだけではなく環境の保護・保全も行ってくれる釣り人になってもらえるよう、微力ですが活動を続けていきます。
ありがとうございました。
最後に。
西米良漁協では冬期ニジマス釣り場を開放しています。
会場やレギュレーションは上の写真のとおりです。
駐車場の看板です。
くれぐれもマナー違反などをしないようにお願いします。
西米良漁協のような「内水面漁協(ないすいめん)漁協」のご苦労・ご負担は、おそらく普通に川釣りをしている方々が思っているよりもかなり大きいです。
そして、もし内水面漁協の活動がなければ、ヤマメも、アユもおそらく多くのフィールドからその大部分が姿を消してしまいます。
もし釣り場を訪れた時は、単に魚が釣れる、釣れないだけではなく、そんなことも少し考えてもらえれば幸いです。
昔からトラウトフィッシングは紳士・淑女のスポーツとも言われています。
秋の陽光に照らされながら、西米良村でどうぞ素敵な1日をお過ごしください。
(文・写真 KUMOJI)
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