上小丸川ランデヴー
(7~8月は個人的に仕事が忙しく、久しぶりの更新となってしまいました。
ただ、ここにアップはしませんでしたが、最近はありがたいことに色々なお話しが舞い込んできています。
今後、また少しずつご紹介してまいります。)
※ランデブー(rendezvous)・・・時間と場所を示し合わせて落ち合うこと。
「やっばい。コレ間に合わないな。」
自宅から上小丸川に向かうグネグネとした道中、待ち合わせ場所に後7~8㎞というところで、約束していた6時半になってしまった。
相手は初めてランデブーさせてもらうフライフィッシャーの方々なのに、とんだ失態。
釣りには行かないけど、朝イチだけ顔を出してくれると申し出てくれたKIDにはあらかじめ集合場所に行ってもらっている。彼がいてくれれば、四方山(よもやま)話しでどうにかこうにか間を繋いでくれてるだろう。急げ急げ、でも安全運転しなきゃ。。。
結局、15分の遅刻。「すみませーん!」と頭を下げながら駆け寄る。
そこではKIDと、一度居酒屋でお会いしたことのあるOさんと、もう1人、熊本県人吉市でバンブーロッドを作ってらっしゃるYさんがにこやかに談笑していた。
良かった、怒ってなさそう。
「(予定のポイントに)まだ誰も入ってない?」
と私が聞くと、3人とも何ともはかなげな笑みを浮かべている。アレ・・・もしかして・・・?
「ダメです。先行者がいました。」とOさん。
「えっ!? 私が遅刻したせいで・・・?」
「いやいや、私たちが着いた時には(先行者は)もうウェーダーを履いてる途中でした。」
事前にKIDに相談して、今季の上小丸で一番良い所をチョイスしてたのに。こんなのはランデヴーとは言わない。
その場でKIDと頭をひねりながら、1カ所、2カ所とウロウロしながら何とかスタートフィッシング。
わざわざ遠くから上小丸川に来てもらったのだ。何とかいい魚をキャッチしてもらいたい。
ところが、そんな私たちの思いとはうらはらにどうにも魚が小さい。これくらいのサイズのヤマメでも「写真撮らなくちゃ・・・。」と思ってしまうくらい。
もう9月も中旬。色んなところに人の足跡がある。
やっばいなあ。
そんな私たちの雰囲気を察したのか、お二人はつとめて明るく振る舞ってくれる。
実は、フライフィッシャーの方々とランデブーすること自体、私にとって初めてのこと。
YouTubeや雑誌で見、聞きかじった知識と疑問点を興味津々、色々ぶつけてみる。
「そのリール、シブいですねー。」
「実はコレ、100年前くらいのものなんですよ。」
とOさん。
100年前のギアがまだフィールドで、現役で使えるなんてスゴイこと。多分ルアーの世界ではそうそうないと思う。
「(ドライフライ用の)フロータントはどんなのがいいですか?」
「実は、○○オイルがすごくいいんですよ。」
試しに塗ってもらってビックリ。本当に沈まない。これは、買わなきゃ。
「リーダーは・・・?」
「Yさんはリーダーを自作してますよ。」
実際に見せてもらってまたビックリ。なるほど、こんな仕組みになってるんだ。Yさんの水面にピッタリと吸い付くようなキャスティングはこのリーダーが1つの理由なんだろう。これは、真似しなきゃ。
見るもの触るもの新鮮なものばかり。これは、楽しい。
そんなこんな、ワイワイ言いながら遡行していると、やっとフォトジェニックな1匹がYさんのフライをくわえた。
「お、いいですね。写真撮らせてください。」
と申し出て、今度は私が佐藤成史さんから習った写真の撮り方をやってみせ、解説してみせる。お二人から「おお~。」とか「なるほど!」と感嘆のフレーズが飛び出してきて、なんだかとても気持ちがいい。
それから源流の水も枯れ枯れとなり、この2本目の沢に行くも、またまた足跡が・・・。
「ここはいつもはまあまあ大きいのが出るんですけどねえ。」
「魚はいるけど、何だかおびえてる感じ。ルアーの人が入った後っぽいね。」
私も実は同じことを感じていた。でも、まあ、しょうがない。
この後、本流もやってみたけど、結局釣果はどうにもパッとしない1日だった。ただ、夕方には小1時間キャストのレッスンを受けることも出来て、私にとってはとても充実した1日になった。
※ランチタイムにいただいたコーヒーは本当に絶品でした。ごちそうさまでした。
最近やっとフライフィッシングのタックル一式を揃えて、ネイティブフィールドに出掛けたのがまだ4~5回と、ピッカピカの初心者の私だけど、ルアーとの違いを新鮮に感じている。
例えばドライフライ。これってルアーで言えばトップウォーター。トップに出てくるヤマメって、ルアーアングラーからするとスゴイことです。
何より、そのゆったりとした釣りのテンポが心地いい。リールのギア比は1対1でカリカリ、カリカリ一生懸命巻かないとラインは回収出来ないし、キャスティングはまだまだちゃんと出来ないけど、ルアーと比べて色々手間がかかるとこが逆に1匹に対する幸福感を与えてくれます。
もちろんルアーを止める気はないけれど、その内きっと半分半分くらいの比率になると思う。ルアーだけの方、フライフィッシングもすごく楽しいですよ。オススメです。
ランチタイムの時、この前のフライフィッシャー300号の話しになった。
「ルアーアングラーがほとんどなのに、こんなに紹介していただいたんですよ。」
「あ、そういえばYさん、確か表紙になってましたよね。」
わざわざOさんが持参してくれたフライフィッシャー300号にはバックナンバーの表紙が全て掲載されていたので、ページをめくりながら探してもらった。
「あ、コレ!この時は~。」「ほら、この号も~。」と昔話をひとしきり。
こんなベテランフライフィッシャーの方のお話しも楽しい上小丸の1日でした。
(後日談)
「しかし、渋かったなあ。もう少し釣ってもらいたかったな。」
そう思いながら帰宅するとKIDからメールが。
「あれから○○谷に行ったんですか?」
「うん。」
と、他のメンバーのメッセージが転送されてきた。日付はこの日の前日。
「いやぁ、尺こそ出なかったけどさ、8寸、9寸がボコボコ釣れてくれて、スッゴい楽しかったよ。○○から○○までやったんだけどね。いい谷だねぇ!」
とご満悦の様子。
そこって、私たちが行った2本目の谷・・・。しかも前日・・・。
1日越しの不運すぎるランデヴー。お前だったか、フェス男ぉぉぉ!!
(文・写真 KUMOJI)
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